高校での人気者の一例.1

　生まれて初めてのセックスって、いったいいつ頃にする人が多いのだろう。
　まわりの皆に訊いてみたけど、答えは本当に人それぞれだ。
　中には「中学生の頃に、済ませてしまった」という人もいる。しかし一方では、三十歳を超えているのに「まだ一度も、したことがない」という人だって決して少なくはない。

　もちろん中学や高校の頃に済ませた人たちの中にも「セックスは、本当に愛しあっている相手とだけ行なうべきだ」という意見の持ち主はいる。その子たちの場合、中学や高校の頃につきあっていた恋人が「本当に愛しあっている相手」だと思ったからこそセックスしたわけだ。その恋人が「本当に愛しあっている相手」で後に結婚だとかするところまで至ったという子は、わりに少ないけれど。そこまで行く前に何らかの理由で、その相手とは別れてしまった子が多いみたいで。

　しかし一方「結婚する前に、なるべく何人かと経験しておいた方がいい」と唱える人もいる。いろいろな人と、いろいろなやり方を経験してみて、相性のいい相手を選んだ方がいいと言うのだ。

　今の私の考えは、その両方の中間といったところかな。もちろんセックスは、なるべく「本当に愛しあっている相手」とするにこしたことはないと思うんだけどさ。自分では「本当に愛しあっている」ものとばかり思っていた相手が、後に実際には決してそうじゃなかったと気づかされることもあるんだし。
　だから自分では「本当に愛しあっている相手とだけ行なうべきだ」と思っていても、結果としてそうじゃなくなっちゃうことも決して珍しくはないのでしょうね。

　それだけに「本当に愛しあっている相手」と出会えるまでの間、「この人こそ、私と本当に愛しあえる相手じゃないのかな」と思えた人たちと何人かセックスする結果になったとしても、しかたがないと思うの。
　そういう人と、思春期の間に一人も出会うことができなくてさ。大人になるまで誰とも一度もセックスをしないままで来ちゃった、という人もいるみたい。

　だけどそれだと大人になってから誰かと初めてセックスをした時、判断するのが難しくなっちゃうんじゃないのかなあ。その人が「自分と本当に愛しあっている相手」もしくは「本当に愛しあうことのできる相手」なのか、ということをよ。少なくとも何人かの人とセックスしてみた経験がないと、その相手と自分のセックス面での相性がいいのかどうかも判断できないだろうし。
　幸いにと言うか私の場合、高校生だった頃にセックスを体験できたからさあ。そういう人たちに比べると、少しは恵まれた条件にあったんじゃないかと思うんだけどね。

「高校での人気者～」の続きを読む

とんカツの頃の愛の詩.16

　高校時代、私は「はつみのことが好きだ」と思っていた時期がありました。
　しかし夢美と親しくなり、「夢美に対する自分の感情は、恋愛感情なのだろうか」と考えてみたりしていた時期もありました。
　この頁では、私が高校三年生だった年の三月五日に夢美との関わりあいを題材として書いた詩を掲げておくことにしましょう。


　　　　狂気の微笑 PART IV

おちこめおちこめ
どんぞこにたたきつけられたとき
自分を無にして
他人のために生きることを知るだろう

すべての価値判断を超越したとき
まばゆくしろい空間に
ほんのちいさなひとつの黒点――
狂気のほほえみよみがえれ

身をゆだねること
現実を否定するために
ひとつのゆめをおいかけること
生活の基盤のうえに

使命をすてさるのではない
認識を変革するのだ
FINAL BELLをきくこと――
それこそ＜われら＞が使命に他ならない

ともにあること――
唯一のモラル

愛の詩の続きを読む

とんカツの頃の愛の詩.15

　高校時代、私は「はつみのことが好きだ」と思っていた時期がありました。
　しかし夢美と親しくなり、「夢美に対する自分の感情は、恋愛感情なのだろうか」と考えてみたりしていた時期もありました。
　この頁では、私が高校三年生だった年の五月二十八日に「やはり私が恋愛感情を抱いているのは夢美に対してではなく、はつみに対してらしい」と考えて書いた詩を掲げておくことにしましょう。


　　　　狂気からの転向

おもいだせ
あせばむ夏にもえるほのおをおもいだせ
死んだはずの影のことを、いまもういちどおもいだせ

夢はきずきあげていくものだし
生活はみずから破壊するものではない
平凡なにんげんとして、平凡な人生をいとなむのなら
小市民的な幸福をもとめて、いったいなにがわるいことがあるというのだろう
狂気によいしれるよりは
地味な正気のなかに生きたい
きょうとかわらぬあしたのなかに
地味なしあわせをさがしつづけていきたい

おもいだせ
あせばむ夏にもえるほのおをおもいだせ
ぼくのこころをあけはなつ一陣のかぜをおもいだせ

一滴ばかりの血の涙と
西陽のてりつける坂道をのぼっていくひとつの影に満足できないいまのぼくには
夢のあとの、気のやすらぐほほえみは
けっしてくるっていてはいけない
かれらが健康とよぶ平凡さと
すべての基準にこだわらない素朴さとがひつようだ
夢をふたたび頭上にかかげ
あわいかなしみをうたいあげよう

詩の続きを読む

とんカツの頃の愛の詩.14

　高校時代、私は「はつみのことが好きだ」と思っていた時期がありました。
　しかし夢美と親しくなり、「夢美に対する自分の感情は、恋愛感情なのだろうか」と考えてみたりしていた時期もありました。
　この頁では、私が高校一年生だった年の一月十七日に「夢美に対する自分の感情は、恋愛感情なのだろうか」と考えて書いた詩を掲げておくことにしましょう。


　　　　狂気の微笑

もちろん本気じゃないってことなのさ
死んだ影がまだかすかに息を続けるとき
冷たくつきはなすのは残酷すぎる
自分の心をいつわれというわけではないけれど
彼女は一度うたっておくには価する
暗く大きな影からのがれる為の道具の役目は
みごとに果たしてくれたのだから
しかし、それ以上のなにものでもなかったということを
心には深く刻みこめ
明日の訪れないことはわかっていたのに
ピエロになろうなどと考えたのは
確かに僕らしくないことではあった
僕のような悪人らしくないことではあった
善人になることを望みはしないし
それがむしろ野暮いことと感じられる今は
ほんの小さな親切は
むしろ悪人たるにふさわしい
つまりそれは決して無色透明ではないということなのだ
笑みをもって首を振り続けろ
ないものにあこがれたとは考えるな
だが実際にはそれが事実である事を知れ
そして同じ事を繰り返すのだ
明日の為に昨日を語るな
昨日の為に明日を語る方がまだましだ
秋らしい淡い悲しみをともなった淡い色彩の光景は忘れろ
現実だけを思い浮かべろ
秋の夜の街は
昔という名の中に凍らしてしまえ
出発は歴史をこえて訪れてくる

詩の続きを読む