つながる力を18歳の男子に [恋愛実用書などで学ぶ]
坂爪真吾『孤独とセックス』扶桑社新書
「包茎であることがコンプレックスです。(中略)やはり、お金を払って手術したほうがいいのでしょうか?」というような「18歳の問い」が本書には11個、出てきます。
そしてそれらの問いに対して、たとえば次のような回答が示されるのです。
そもそも日本人男性の7割は包茎と言われています。マイノリティではなく、マジョリティです。そして包皮を手でむける状態であれば、清潔にさえしていれば医学的にも衛生的にも何の問題もありません。
本書の「はじめに」の終わり近くには、次のように書かれています。
他者と関わって傷つくことを恐れ、ちっぽけなプライドを捨てること=等身大の自分を受け入れることを拒否し続けた18歳の私は、孤独という名の殻に閉じこもりました。
さらには「孤独の誘惑と並んで当時の私を苦しめていたのは、セックスの誘惑です」とも書かれています。
そしてその上で、次のように明かされるのです。
本書の目的は、孤独とセックスにまつわる11の問いと、それらに対する回答を通して、他社や社会、そして自分自身と「つながれない」ことで悩んでいる18歳の男子に、「つながる力」を身につけてもらうことにあります。
でもこれは十頁ほどある「はじめに」の終わり近くで、はじめて明かされることです。
『孤独とセックス』という題を見ただけですと「この本は、そういう内容だ」ということが読みとれませんよね。
その点で本書の題のつけ方は、やや読者に対して不親切だという気がします。
どうも坂爪真吾の著書には、そういう例が多いように私には思われるのです。
たとえば当塾の「集団に貢献する人がモテる」の頁では、同じ坂爪真吾が書いた『男子の貞操』という本を紹介しました。
この『男子の貞操』には、若い男子が恋人を得て親しくなるために役立つ知識が書かれています。しかし『男子の貞操』という題からは「この本が、そういう内容だ」ということはわかりませんよね。
「包茎であることがコンプレックスです。(中略)やはり、お金を払って手術したほうがいいのでしょうか?」というような「18歳の問い」が本書には11個、出てきます。
そしてそれらの問いに対して、たとえば次のような回答が示されるのです。
そもそも日本人男性の7割は包茎と言われています。マイノリティではなく、マジョリティです。そして包皮を手でむける状態であれば、清潔にさえしていれば医学的にも衛生的にも何の問題もありません。
本書の「はじめに」の終わり近くには、次のように書かれています。
他者と関わって傷つくことを恐れ、ちっぽけなプライドを捨てること=等身大の自分を受け入れることを拒否し続けた18歳の私は、孤独という名の殻に閉じこもりました。
さらには「孤独の誘惑と並んで当時の私を苦しめていたのは、セックスの誘惑です」とも書かれています。
そしてその上で、次のように明かされるのです。
本書の目的は、孤独とセックスにまつわる11の問いと、それらに対する回答を通して、他社や社会、そして自分自身と「つながれない」ことで悩んでいる18歳の男子に、「つながる力」を身につけてもらうことにあります。
でもこれは十頁ほどある「はじめに」の終わり近くで、はじめて明かされることです。
『孤独とセックス』という題を見ただけですと「この本は、そういう内容だ」ということが読みとれませんよね。
その点で本書の題のつけ方は、やや読者に対して不親切だという気がします。
どうも坂爪真吾の著書には、そういう例が多いように私には思われるのです。
たとえば当塾の「集団に貢献する人がモテる」の頁では、同じ坂爪真吾が書いた『男子の貞操』という本を紹介しました。
この『男子の貞操』には、若い男子が恋人を得て親しくなるために役立つ知識が書かれています。しかし『男子の貞操』という題からは「この本が、そういう内容だ」ということはわかりませんよね。
非難できない不倫もある? [恋愛実用書などで学ぶ]
坂爪真吾『はじめての不倫学』光文社新書
既婚者が自分の配偶者との関係だけに充ち足らず、他の相手を探して恋愛や性交をする例があります。
あるいは独身者が自分の気持ちを充たすため、わざわざ既婚の人を相手に恋愛や性交をする例もあります。
こういうふうに「自分の気持ちを充たすため、わざわざ相手を探して不倫を行なう」のを今、仮に「自分起因の婚外恋愛」と呼ぶことにしましょう。
このような「自分起因の婚外恋愛」は社会的な結婚制度の倫理に反しているので、確かに「不倫」と呼ばれてもしかたがない面があるのではないでしょうか。
しかし世間で不倫と呼ばれている関係の中には、もう少し性質が異なるものも含まれているように思われます。
たとえば30歳で結婚した人が離婚をせずに、80歳で配偶者と死別したとしましょう。
その人にとっては、一人の相手との結婚関係が50年もの長い間にわたって続くことになります。
しかし50年もの間には自分の配偶者でない他の魅力的な人と出会って、その相手と相思相愛の関係になってしまうことがないとも限りません。
このように「既婚者が自分の配偶者の他に魅力的な相手と出会って、相思相愛になること」を今、仮に「先方起因の婚外恋愛」と呼ぶことにしましょう。
このような「先方起因の婚外恋愛」の中には、「不倫」などと表現して倫理的に非難するのは苛酷に過ぎると思われる例もあるのではないでしょうか。
あるいはまだ結婚はしていなくても、特定の相手と近いうちに結婚することを考えている人がいるとします。
しかし、その相手と関わっているうちに「この人は、必ずしも自分と結婚することを必要としてはいない」と思い知らされてしまったとします。
その一方で、自分との関りを必要としている別の相手がいることに気づいたとします。
その場合、結婚することを考えていた方の相手ではなく、自分のことを必要としている別の相手と関わる方をこそ選ぶべきではないのか――
そんな疑問を読者に提示しているのが村上春樹の『ノルウェイの森』であり、拙作『10年ごしのプロポーズ』です。
このような場合に「自分のことを必要としている別の相手の方」とつきあうことも、広い意味での「先方起因の婚外恋愛」に含めることができるのでしょう。
既婚者が自分の配偶者との関係だけに充ち足らず、他の相手を探して恋愛や性交をする例があります。
あるいは独身者が自分の気持ちを充たすため、わざわざ既婚の人を相手に恋愛や性交をする例もあります。
こういうふうに「自分の気持ちを充たすため、わざわざ相手を探して不倫を行なう」のを今、仮に「自分起因の婚外恋愛」と呼ぶことにしましょう。
このような「自分起因の婚外恋愛」は社会的な結婚制度の倫理に反しているので、確かに「不倫」と呼ばれてもしかたがない面があるのではないでしょうか。
しかし世間で不倫と呼ばれている関係の中には、もう少し性質が異なるものも含まれているように思われます。
たとえば30歳で結婚した人が離婚をせずに、80歳で配偶者と死別したとしましょう。
その人にとっては、一人の相手との結婚関係が50年もの長い間にわたって続くことになります。
しかし50年もの間には自分の配偶者でない他の魅力的な人と出会って、その相手と相思相愛の関係になってしまうことがないとも限りません。
このように「既婚者が自分の配偶者の他に魅力的な相手と出会って、相思相愛になること」を今、仮に「先方起因の婚外恋愛」と呼ぶことにしましょう。
このような「先方起因の婚外恋愛」の中には、「不倫」などと表現して倫理的に非難するのは苛酷に過ぎると思われる例もあるのではないでしょうか。
あるいはまだ結婚はしていなくても、特定の相手と近いうちに結婚することを考えている人がいるとします。
しかし、その相手と関わっているうちに「この人は、必ずしも自分と結婚することを必要としてはいない」と思い知らされてしまったとします。
その一方で、自分との関りを必要としている別の相手がいることに気づいたとします。
その場合、結婚することを考えていた方の相手ではなく、自分のことを必要としている別の相手と関わる方をこそ選ぶべきではないのか――
そんな疑問を読者に提示しているのが村上春樹の『ノルウェイの森』であり、拙作『10年ごしのプロポーズ』です。
このような場合に「自分のことを必要としている別の相手の方」とつきあうことも、広い意味での「先方起因の婚外恋愛」に含めることができるのでしょう。
集団に貢献する人がモテる [恋愛実用書などで学ぶ]
坂爪真吾『男子の貞操』ちくま新書
恋人や結婚相手の候補になりうる人と、どうやって知り合うか。どうやって自分に対する好感を、その人たちに持ってもらうか。そのために役立つ手立てが本書には、次のように書かれています。
結論を述べると、僕たちが最初にやるべきことは、「所属している社会的ネットワークへの貢献」です。自分が現在所属しているネットワーク、あるいは、これから所属するネットワークへの貢献度を高めることが、僕たちが恋愛に対するモチベーションを取り戻し、かつ恋人を得るための、最短距離にして、最も効果的な処方箋です。
具体的には、ゼミや部活、サークルの企画運営や、飲み会・合宿等のイベントの幹事を率先して行う、NPOや市民活動を通して、地域の活性化や問題解決に協力する、社内において重要だけれども誰もやりたがらない仕事を積極的に引き受ける、所属部署の業績を上げる、職場の人間関係やワークライフバランスをうまく調整して、皆が働きやすい環境づくりに力を入れる、などです。
自分の所属しているネットワークの仲間から褒められたり、認められたりすることは、それ自体が、何物にも代えがたい、大きなモチベーションになるはずです。
社会的ネットワークへの貢献度を高めれば、必然的に、ネットワーク内でのあなたの評価や好感度は上昇します。それによって、ネットワーク内の異性からアプローチされる機会、内外の異性を紹介される機会も増えるでしょう。出会った後、紹介された後の「成約率」も、貢献度に比例して上昇するはずです。
私の経験でも、これは「まさしく、そのとおりだ」と言えるように思います。私自身、その時々に所属していた集団の世話役を務めるなどして貢献した結果、その集団に所属する同性や異性の人たち大勢から好かれたことがあるのです。
中学時代の私のそのような体験に関しては、拙著『14才の恋と、サヨナラ』をご参照ください。
高校時代の私のそのような体験に関しては、拙著『高校で人気者になる法』をご参照ください。
20代の頃の私のそのような体験に関しては、拙著『10年ごしのプロポーズ』をご参照ください。
坂爪真吾さんの別の著書『セックス・ヘルパーの尋常ならざる情熱』には、また他のやりかたも書かれています。坂爪さん自身が実際に採用し、その結果として結婚相手を得るに至った手立てです。そちらについては当塾の「恋人探しの強力な武器」の頁をご高覧ください。
恋人や結婚相手の候補になりうる人と、どうやって知り合うか。どうやって自分に対する好感を、その人たちに持ってもらうか。そのために役立つ手立てが本書には、次のように書かれています。
結論を述べると、僕たちが最初にやるべきことは、「所属している社会的ネットワークへの貢献」です。自分が現在所属しているネットワーク、あるいは、これから所属するネットワークへの貢献度を高めることが、僕たちが恋愛に対するモチベーションを取り戻し、かつ恋人を得るための、最短距離にして、最も効果的な処方箋です。
具体的には、ゼミや部活、サークルの企画運営や、飲み会・合宿等のイベントの幹事を率先して行う、NPOや市民活動を通して、地域の活性化や問題解決に協力する、社内において重要だけれども誰もやりたがらない仕事を積極的に引き受ける、所属部署の業績を上げる、職場の人間関係やワークライフバランスをうまく調整して、皆が働きやすい環境づくりに力を入れる、などです。
自分の所属しているネットワークの仲間から褒められたり、認められたりすることは、それ自体が、何物にも代えがたい、大きなモチベーションになるはずです。
社会的ネットワークへの貢献度を高めれば、必然的に、ネットワーク内でのあなたの評価や好感度は上昇します。それによって、ネットワーク内の異性からアプローチされる機会、内外の異性を紹介される機会も増えるでしょう。出会った後、紹介された後の「成約率」も、貢献度に比例して上昇するはずです。
私の経験でも、これは「まさしく、そのとおりだ」と言えるように思います。私自身、その時々に所属していた集団の世話役を務めるなどして貢献した結果、その集団に所属する同性や異性の人たち大勢から好かれたことがあるのです。
中学時代の私のそのような体験に関しては、拙著『14才の恋と、サヨナラ』をご参照ください。
高校時代の私のそのような体験に関しては、拙著『高校で人気者になる法』をご参照ください。
20代の頃の私のそのような体験に関しては、拙著『10年ごしのプロポーズ』をご参照ください。
坂爪真吾さんの別の著書『セックス・ヘルパーの尋常ならざる情熱』には、また他のやりかたも書かれています。坂爪さん自身が実際に採用し、その結果として結婚相手を得るに至った手立てです。そちらについては当塾の「恋人探しの強力な武器」の頁をご高覧ください。
猟犬ジョーに宿はない.6 [皆の恋話]
そう言いながら、俺は頭のなかで考えた。もしも彼らが強かったなら、あるいは彼らのうちの誰か一人でも飛び道具を持っていたならば。とてもじゃないが、三対一ではまともに勝ち目がないだろう。しかし彼らが飛び道具を持っているとは思えない。これだけ小さな町で、目立った抗争があるわけでもなさそうなのに飛び道具を持ち歩かなければならないわけはないのだ。そして飛び道具さえなければ彼らなど、たとえ三人束になったところで何ら怖れるには足りるまい。よく吠える犬に強い犬がいたためしはないのだから。
「おい、貴様。それはいったい、どういう意味だよ」
「なるほど。君にはちょっと、難しすぎたかもしれないね。しょせんは君なんか、にごった小さな水たまりのなかでいい気になっているおたまじゃくしに過ぎないっていう意味さ」
「このお」
男は赤ら顔をさらに真っ赤に染めたかと思うと、俺の顔めがけて拳をくりだしてくる。知らないのだろうか。いきなり相手の顔に殴りかかるのは、最もまずい手だてだということを。顔をねらったのでは避けられてしまう怖れが高いし、逆に自分は腕が上にあがっているため相手の拳が飛んでくるのを防ぐのが難しいのだ。俺の顔のわずか数ミリ横で男の拳が空を切った時、いきおいよく踏みこんできたその腹には俺の拳が二十センチもめりこんでいた。拳が腹へめりこんでいく音さえも、はっきりと聞きとれたような気がする。
「げっ」
それが誰であれ、腹の皮と背中の皮とがくっつくような衝撃をくらって無事でいられる奴などいない。ひとこと声にもならないような鈍い息を吐いたかと思うと、その場に男は崩れおちてしまった。そしてそのまま、立ちあがろうとする気力すらなくしてしまったようだ。もしかすると、内臓が破裂したのでなかろうか。そう考えるのが決して大げさでないほど、俺の拳は見事に男の腹へ喰いこんだのだから。
「てめえ」
それまで男の陰に隠れていた、ふたりの腰ぎんちゃくが気色ばむ。哀れな奴らだ。たったの一撃で兄貴分が倒されたのを見て、もはや自分たちの腕ではかなうわけもないことを悟っているはずだろうに。見栄や浮世のしがらみから、それでも一応は闘う素振りを見せなければならないだなんて。そんな彼らに、俺は優しく声をかけた。もっとも彼らには俺の声が天使のささやきなどではなく、地獄の悪魔の呪いに聞こえたのかもしれないが。
「おい、貴様。それはいったい、どういう意味だよ」
「なるほど。君にはちょっと、難しすぎたかもしれないね。しょせんは君なんか、にごった小さな水たまりのなかでいい気になっているおたまじゃくしに過ぎないっていう意味さ」
「このお」
男は赤ら顔をさらに真っ赤に染めたかと思うと、俺の顔めがけて拳をくりだしてくる。知らないのだろうか。いきなり相手の顔に殴りかかるのは、最もまずい手だてだということを。顔をねらったのでは避けられてしまう怖れが高いし、逆に自分は腕が上にあがっているため相手の拳が飛んでくるのを防ぐのが難しいのだ。俺の顔のわずか数ミリ横で男の拳が空を切った時、いきおいよく踏みこんできたその腹には俺の拳が二十センチもめりこんでいた。拳が腹へめりこんでいく音さえも、はっきりと聞きとれたような気がする。
「げっ」
それが誰であれ、腹の皮と背中の皮とがくっつくような衝撃をくらって無事でいられる奴などいない。ひとこと声にもならないような鈍い息を吐いたかと思うと、その場に男は崩れおちてしまった。そしてそのまま、立ちあがろうとする気力すらなくしてしまったようだ。もしかすると、内臓が破裂したのでなかろうか。そう考えるのが決して大げさでないほど、俺の拳は見事に男の腹へ喰いこんだのだから。
「てめえ」
それまで男の陰に隠れていた、ふたりの腰ぎんちゃくが気色ばむ。哀れな奴らだ。たったの一撃で兄貴分が倒されたのを見て、もはや自分たちの腕ではかなうわけもないことを悟っているはずだろうに。見栄や浮世のしがらみから、それでも一応は闘う素振りを見せなければならないだなんて。そんな彼らに、俺は優しく声をかけた。もっとも彼らには俺の声が天使のささやきなどではなく、地獄の悪魔の呪いに聞こえたのかもしれないが。