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好都合で理想的な女性 [いい恋のためのエッセンス]

 自分が愛している相手の男性のことが本当に好きで、その男性と一緒にいることができるだけで喜ぶ。
 その男性が自分と会ってくれるだけで感謝し、それ以上を無理強いしない。
 しかもその男性から別れを告げられたら、文句を言わずに大人しく従う――
 そんな女性に好かれたら、相手の男性にとっては実に好都合で理想的ですよね。

 しかし女性の側にだって普通「自分は、こうしたい」ですとか「こうしてほしい」という思いがあります。
 それを「欲」と言ってしまったら、その女性が可哀相でしょう。「欲」ではなくて、「希望」とでも言えばいいのでしょうか。
 そして男と女が関わりあっていると、お互いの希望が食い違ったりすれ違ったりしてしまうこともありえます。
 そういう時に女性の側が自分の希望を我慢して相手の男性の希望や都合ばかりを優先したのでは、その女性が可哀相です。
 ですからたとえ恋人同士や夫婦でも、女性の側が相手の男性のそれと異なる自分の側の希望を実現しようとすることもあるのが普通です。
 男性も実際に誰か女性と恋人や夫婦として関わっていると、そういう機会を体験することになるのが普通です。
「女性の側が一方的に男性の希望に従ってくれるように」と望むのは無理がある、ということを男性の側も学んでいくのです。

 ところが、ですよ。
「相手の男性と一緒にいることができるだけで喜び、それ以上を無理強いしない。しかも相手の男性から別れを告げられたら、文句を言わずに大人しく従う」――そんな女性も、いることはいるのです。
 何を隠そう私自身が実際に以前、そんな女性に好かれていたのです。

 その女性のことを、ここでは仮にケイコさんと呼んでおくことにしましょう。
 このケイコさんは、わりと整った顔だちをしていました。見た目だけから判断すると、なかなか男性にモテそうな感じです。
 ただしケイコさんは私と知り合う以前、統合失調症を患っていた時期があったのだそうです。
 そのせいか私と知り合った頃のケイコさんは、人と関わることが少し苦手になってしまっていました。
 その結果、ケイコさんは私と知り合う前には男の人と恋仲になったことがなかったのです。
 そんなケイコさんが私と出会い、私のことを好きになってくださいました。
 そこで私は他に恋人がいなかった時期にしばらくの間、ケイコさんとおつきあいしてみたのです。
 するとケイコさんはこの頁の冒頭に書いたような、男性にとって実に好都合で理想的に感じられる性格の持ち主だったのです。

 私は統合失調症を患っていたことがある人を、ケイコさんの他に何人も知っているわけではありません。
 ですから統合失調症を患っていたことがある人たちのうち、ケイコさんのような人がどれくらいいるのかは知りません。
 でも「統合失調症を患っていたことがあるため、ケイコさんのような気だてになった女性」がいることは確かなのでしょう。
 だとすると「相手の男性と一緒にいることができるだけで喜び、感謝する」という、男性の側にとって実に好都合で理想的な女性と恋人同士や夫婦になりたい男の人は――統合失調症を患っていたことがある女の人たちの中から相手を探してみるのも、一つの手なのかもしれませんね。
 だなんて言うと自分の恋人や夫に対して自分の側の希望を唱えることもある普通の女の人たちからは、責められてしまうのかもしれませんけど。

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