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人気者に好かれた私.2 [17才の恋話]

 それからというもの、かもめさんったら私のことを「はいちゃん」って呼ぶようになったの。
 はじめて話しかけられた時に私が「はい」って返事をしたのが、よっぽど面白く思ってもらえたみたいで。
 だもんで私も彼女のことは、決して苗字で「海女さん」とかじゃなく、下の名前の方で「かもめさん」と呼ばせてもらうようになってさ。
 なんだかすっかり、仲よくさせてもらえるようになったのよ。

 おまけにそのかもめさんが、やっぱり同じF組になった近藤さんや曽根さんとも仲よくなったものだから。
 そのおかげで私まで、かもめさんや近藤さんや曽根さんたちの仲間に入れてもらえちゃって。
 いきなり三人もの「仲よし友だち」ができちゃったんだな。
 私みたいな引っ込み思案の女の子が高校に行ってすぐ、そうやって私を含めて皆で四人の「仲よしグループ」に入れてもらえただなんてさ。
 とても幸運なことだった、って言わなくちゃいけないわよね。

 しかも私たち四人のうちの近藤さんは、とってもおしゃべりな性格で。
 そんな彼女と一緒にいると、いつでも明るく楽しい気分でいられるのよね。
 それから曽根さんの方は、とても穏やかで人あたりのいい性格だもんで。
 なんだかまるで「いつでも私たちのことを温かく見守ってくれているお母さんだか、お姉さん」とでも言った感じなんだな。
 おまけにかもめさんまでが、引っ込み思案な私のことを気にかけてくれているものだから。
 そんな皆と一緒にいると、なんだかすっかり守られているみたいな感じで安心できるの。

 そんな私たち四人のことを同じF組の他の皆は、そのうち「近藤グループ」と呼ぶようになって。
 やっぱり近藤さんが一番おしゃべりで、クラスの中でも目立っていたからさ。
 まわりの皆にとっては近藤さんが、私たち四人のグループの代表格に見えていたのかなあ。
 私たち四人の間では「特に誰か一人がリーダーだ」というようなことも、なかったんだけどね。
 逆に四人の中では私だけ、他の三人の皆に気をつかってもらう立場だったという気はしちゃうんだけど。

 でもってかもめさんが私のことを、いつでも「はいちゃん」と呼んでいたものだから。
 そのうち同じF組の他の女の子たちも、私のことを「はいちゃん」と呼ぶようになったの。
 最初は近藤さんや曽根さんが私のことを「はいちゃん」と呼びはじめて、さらには他の女の子たちまでが。
 でも例の浅木さんは私のことを、いつまでもずっと苗字で「忍野さん」って呼んでいたっけ。
 そんなところもなんだか、「いかにも浅木さんらしいな」って気がしちゃうんだけどね。

 同じクラスになって日にちが経って、それぞれお互い皆の性格なんかも少しずつ見えてくるようになったわけでしょう。
 でもって、浅木さんの場合はさ。
 やっぱり「まさしく、見た目のとおり」って感じでね。
 なんだか、いかにも「優雅なお嬢さま」っていう雰囲気の女の子だったの。
 いつでもにこやかに微笑んでいて、あまり悲しみだとか怒りだとかの感情はあらわにしないで。
 だけどその分、まわりの私たちと本当に打ち解けることもないって感じで。
 だもんで私のことも決して「はいちゃん」という呼び名の方ではなくて、本名どおり「忍野さん」って呼びつづけていたのでしょうね。

 やがてわかったことなんだけど、浅木さんのお父さんは日本を代表するとも言えそうなくらい大きくて有名な企業に勤めているんだって。
 そのせいもあって、ああいうふうに「いかにも優雅なお嬢さま」のような見た目や性格になったのかなあ。
 そのあたり、しがない庶民の親を持つ私にはなかなか見当のつけようがないところなんだけど。

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