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愛ある性交を描く作品を [真に役立つ恋愛本を]

 古典と呼ばれている作品のうち主人公たちがセックスをする場面が多く描かれているものとして、たとえば日本には『源氏物語』や『問はず語り』などがあります。当塾の「巨根が快感との思い込み」の頁で、少しだけ触れておいたとおりです。

 ただし『源氏物語』などを同じ「巨根が快感との思い込み」の頁で触れた『金瓶梅』や『ファニー・ヒル』と比べると、一つ大きく異なっている点があります。
『源氏物語』でも『金瓶梅』や『ファニー・ヒル』と同様、主人公が大勢の相手とセックスをしまくります。そして『金瓶梅』や『ファニー・ヒル』には、その性交の様子が詳しく描写されています。しかし『源氏物語』の場合は性交そのものの場面は詳しく描かれず、ぼかして書かれているのです。
 これはいかにも日本人らしい奥ゆかしさのなせるわざ、なのでしょうか。

 などと言い出すと日本人の特性について厳密に検証しなければならなくなりかねず、これはかなり面倒な作業になるようです。したがって今は「これが日本人の特性によるものなのか、どうか」という点には深入りを避けておきましょう。
 しかし『源氏物語』などの影響が現代にまで尾を引いたためなのか、どうも性を題材に日本で書かれた作品には次のような傾向が見られるように思われます。
  1. 性交の様子が具体的に詳しく描写されるのは主に男性である読者の性欲を刺激するために書かれた、わりと低俗で下品な作品(いわゆる官能小説)に多い。
  2. それ以外の作品(純文学など)では性交が重要な題材として取り上げられていても、実際の性交の様子は具体的に詳しく描写されないことが多い。

 しかし「それが普通だ」だとか「それが当たり前だ」などと私たちが思いこんでしまうとすれば、それは日本人ならではの固定観念だと言わざるをえないのではないかという気がします。
 日本の外にまで目を広げると、必ずしもそうだとは言えないことがわかってくるからです。

 たとえば欧米では「読者の性欲を刺激するために書かれた、わりと低俗で下品な作品」でなくても、登場人物たちがセックスをする様子が具体的に描かれているものがあります。たとえば当塾の「恋愛小説などから学ぶ」のうち、「恐怖の中で愛を叫ぶ」などの頁でも少しだけご紹介したようにです。
 さらに当塾の下記の三頁では、『金瓶梅』の中のそのような場面をいくつかご紹介させていただきました。
  1. 多くの女性と性交しまくる
  2. 巨根が快感との思い込み
  3. 女性の快感は置き去り?

『金瓶梅』が「読者の性欲を刺激するために書かれた、わりと低俗で下品な作品」でないのかどうかという点に関しては、その意見に賛成する人と反対する人の両方がいるようです。
 そして私自身は「多くの女性と性交しまくる」の頁で書かせていただいたように、『金瓶梅』の主な登場人物たちに対して感情移入することができません。
 しかし、
  1. もしも『金瓶梅』の主な登場人物たちが悪い奴らではなく、
  2. しかも相手のことを本当に大切に思いながら行なう性交が描かれていたとしたら、

『金瓶梅』は人類にとって重要な文化遺産となっていたのではないかという気もします。

 そのような作品が日本では探しにくいというのは、とても残念なことではないでしょうか。
 とりわけ女性の人たちにとっては「主に男性である読者の性欲を刺激するために書かれた、わりと低俗で下品な作品」に対しては抵抗感を禁じえない場合が多いのでしょう。
 しかしそういう作品ではなく「本当に相手の人間性を愛しあっている男女が、相手のことを愛しみあいながら行なうセックスが具体的に詳しく描かれている作品」があったら読んでみたいと思う人は多いのではないでしょうか。
 現に私も、そういう気持ちはあります。ですからそういう作品を探してみているのですが、日本で書かれた作品の中には滅多に見つけることができず、淋しく感じているのです。

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