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巨根が快感との思い込み [真に役立つ恋愛本を]

 主人公たちがセックスをする場面が多く描かれている作品は、古典と呼ばれているような作品の中にも散見されます。
 その代表例が、「多くの女と性交しまくる」の頁で取り上げた中国の『金瓶梅』でしょう。
 日本にも、たとえば『源氏物語』や『問はず語り』などの作品があります。
 英国のジョン・クレランドが書いた『ファニー・ヒル』も、女主人公が大勢の男性たちとセックスしまくる話です。

 これらの作品に関して最近、ふと気がついたことがあります。
 当塾の「官能小説の山場を紹介」の頁でご紹介したように、永田守弘は『教養としての官能小説案内』の中で次のように書いていました。

現実には、女体みずからが知っているように、硬くて巨大なイチモツで突きまくられることなど、むしろ迷惑なのである。じっくりと抱き合い、愛撫されること。硬く大きな陽根であろうとなかろうと、交合する体と心の触れ合いが大切なのだ。

 しかし官能小説には「硬くて巨大なイチモツで突きまくられる」場面が描かれがちだと永田守弘は言うのです。
 これは決して最近の官能小説だけでなく、古典と呼ばれるような作品に関しても当てはまる場合があるのではないでしょうか。

 たとえば『金瓶梅』には、次のような場面があります。「多くの女と性交しまくる」の頁と同様、第三書館から出版された『ザ・金瓶梅』に収められた村上知行による訳で引用してみましょう。

 次に愛月を膝に抱く。ありきたりの興奮剤を入れた紅い酒、青い酒をふたりが互いに口から口へ、口移しに飲み合った。一口のんでは舌を鳴らす。二口のんでは喉を鳴らす。西門慶がそのあいだに、片手を差しのばした。ふたつの乳房を撫でまわした。いかにもふくよかだ。なめらかだ。ひきつづき着衣の襟をつかむ。左右にひらく。目に入ったのがまっしろいあったかい宝玉の趣に似た乳房だった。やたらに撫で、やたらに気が立つにつれ、かの女のほそい手を強いて働かせ、強いて触れさせた。
 余りの粗大さ!
 愛月がさすがに恐れの目の色を見せたのである。
 西門慶の首の根っこにひしとしがみつきながら、
 「あたい、幾らなんでも、こんなの無理だわよ」
 「さあ、そこだ、無理が通るさ」
 「だって、きょうは初会でしょう。はじめから酷いの困るわ」
 愛月が女中を呼んだ。もっと酒を強いてみるつもりだったが、西門慶は飲もうとはしなかった。いわゆる『床いそぎ』である。愛月が西門慶を先にやすませた。自分は別室で湯をつかった。やっといっしょに横になる。西門慶が、かの女の繊細な肌をどんなに愛撫したことか! とうとう感極って腰を抱いた。一掬にもみたない細腰だ。あたためた玉を抱くようだ。殊にそのピチピチした大腿に至っては、
 「千金にてもあがないがたし!」
 と、かれが心中に評価したくらいである。
 雰囲気は、いまや緊迫そのものだ。待つとか、容赦するとかの余裕はなかった。
 愛月が眉をちぢめた。身を震わした。
 「許して! 許して!」
 と息づまるように言う。
 西門慶は、そのような声を聞けば聞くほど、乱暴になったのである。

 そして『ファニー・ヒル』にも、たとえば次のような場面があるのです。私は『ファニー・ヒル』を宝島社文庫の一冊として出版された及川寛平の訳で読んだのですが、それが今は手元にないので、『教養としての官能小説案内』に引用された吉田健一の訳で見てみましょう。

 私は腰の下に枕を置き、その大変な筒を手にとってその心の形をした紅の頭をその的まで持って行き、私は腰を上げ、両足を開けるだけ開いているので的はちょうどいい高さにあって、その熱が青年にそこまで来ていることを知らせ、一突きして快楽に餓えている口が彼を呑みました。彼はそこで僅かばかり手間取りましたが、位置が決まって、彼は道を求めながら進み始め、その困難に私は快楽を覚えるだけで、柔らかな皺の一つ一つがそうして伸ばされ、私たちが触れ合っている部分が多くなるに従って私たちの喜びも増し、私は彼を完全に中に入れて彼に満たされ、彼をそのように締め付け、吸い込んでいるのが言葉で言い表せない快楽を彼にも、私にも味わわせるのでした。

 こうしてみると「硬くて巨大なイチモツで突きまくられる」と女性も気持ちいい、とする思い込みは古今東西に広く共通しているもののようですね。
 しかし女性にとって「硬くて巨大なイチモツで突きまくられることなど、むしろ迷惑」なのだとすれば、そういう正しい知識に基づいて書かれた作品が広く書かれたり読まれたりするべきなのではないでしょうか。

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