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多くの女と性交しまくる [真に役立つ恋愛本を]

 官能小説として読むことができそうな作品を、もう一つ思い出しました。
 中国で一七〇〇年ごろに書かれたとされている、『金瓶梅』です。書いたのが誰かということは、いろいろな説があり、はっきりしていません。
 この『金瓶梅』は『三国志演義』や『水滸伝』や『西遊記』と合わせて、中国の四大奇書と言われたりすることもあります。

 この『金瓶梅』の筋を一言にまとめたら「西門慶という名前の主人公が、自分の何人もの妻や使用人などとセックスしまくる話だ」と言えるでしょう。その意味では日本の『源氏物語』と、よく似ているとも言えそうですね。
 たとえば『金瓶梅』には、次のような場面があります。第三書館から出版された『ザ・金瓶梅』に収められた、村上知行による訳で見てみましょう。ただし文中の傍点は省かせていただきます。

 金蓮はそのなかに横臥しているのであった。玉体の暴露であった。お乳のあたりにうすぎぬの緋の胸当てを当てているだけである。紅い紗の夏ぶとんを僅かにひっかけ、二人用のおしどり枕にあたまをのせ、裸のからだの下には寝ござをしいている。
 とても目をひらいてはいられないほど、眠りこけて、ふらふら、というかっこうだった。
 西門慶が春梅に、へやの戸を閉めて出て行かせた。
 そっと上着をぬぎ、ズボンをぬいだ。
 寝台にはいあがった、
 紗の夏ぶとんを掲げてみた。
 こちらも裸、あちらも裸、裸と裸が映りあった。
 金蓮が目をさましたのは、西門慶の勢いのいい活動がはじまって余程あとのこと。
 うっとりした星の眸だ! 微かにひらく嬉しそうな薄い瞼だ!
 「厭だわ、泥棒! いつ忍びこんできたのよ? 人がせっかく眠っているのに」
 「泥棒がおれだったから好かったものの、本物の泥棒なら、今まで寝たふりができたかい?」
 「人をよっぽど軽べつするのね。八俣の大蛇ででもないことには、誰がここにはいってこられるものですか!」
 時に、この金蓮……。せんだって翡翠軒で西門慶が李瓶児の白いからだを褒めちぎるのを立ち聞きしてこのかた、人には知らさずに茉莉花の花蕋を化粧用のあぶらにまぜ、白粉をそれで練って、からだに万遍なく塗ることにしいていた。その白いこと、その光沢のきれいなこと、その匂いのすずしいこと……。それでわが肉体の上に西門慶の寵愛を繋ぎとめようという苦心の新案だった。
 西門慶は、このときかの女の雪白なトルソー、ならびに新しい紅い寝靴をはいた二本の脚を一瞥しただけで、頭を百三十度狂わせていた。白熱の攻勢に出た。同時に玄の玄、衆妙の門から、わが目をはなさなかったものだ。
 「なに見てんのよ? あたしの体が黒いって言うんでしょう。白くないって言うんでしょう。あんたは瓶児ねえさんが妊娠したもんだから、格別だいじにするけれど、あたしなんかにはどうせ子どもはできない、と見くびって、だいじにするどころか、ずいぶん猛烈にこするわね」

 あるいは、別の箇所には次のような場面もあります。

 城内のやしきでは、かの藩金蓮である。雪洞で陳敬済と滅多にない機会を得てじゃらつくところに邪魔がはいり、別れ別れにされたのが、どう考えても腹がたってならなかった。わがへやに戻っても、情欲の火をもて余し、白粉ベッタリのあごを両手のひらにのせ、肘をついてボーッとしていると、敬済が知らぬまにはいってきた。ひとあし、またひとあし、と泥棒猫のような忍び足だ。いきなり後ろから金蓮に抱きついた。不意打ちの接吻だった。金蓮は、ぎょっとすると共に、よろこんだのである。
 「よして! 離して! 人が来るわよ」
 と口では拒絶、目では明らかに「さあ、はやくよ!」と言うわけである。
 敬済はもちろん止めも離しもしなかった。ますます力強く抱き締めた。かの女のズボンの腰帯をほどきにかかった。あたかも引きちぎるかのような勢いである。
 「あんた……」と金蓮は上ずり声で「あんまりだしぬけだわ、大胆すぎるわ」
 「いい、と言ったら、いいんだよ、僕のかあちゃん」
 と敬済はかの女を『かあちゃん』呼ばわりした。
 「かあちゃんが僕の心肝がたべたい、と言う望みなら、ここでえぐり出して、煮てあげるよ」
 と、たあいもないうわごとである。かの女のスカートをひっ剥ぐようにする。金蓮もこのときには花の芯のぬれるのを禁じ得なかった。

 しかし私は西門慶に対しても、あるいは『金瓶梅』の女主人公格だと言えそうな金蓮に対しても、感情移入することはできません。
 彼らは自分たちの欲得のためには、他人を殺してしまうことさえ辞さないような連中だからです。
 村上知行は『ザ・金瓶梅』の「あとがき」で、次のように書いています。

 わたしが北京にいたじぶんに発見されたテキスト『金瓶梅詞話』の匿名の序文には「これを読んであわれみの心を持つ人は菩薩である。おそれの心を持つ人は君子である。よろこぶ人は小人であり、まねする人は畜生である」と書いてある。

 してみると『金瓶梅』は、読む人の品性を試験してしまうような恐ろしい本だと言えそうですね。

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