引き延ばされた学生時代.7 大学時代の作品 [塾頭の経歴]
放送大学にかよっていた当時の私の執筆活動についても、触れておきましょう。
大学に提出するレポートや論文の他に、さまざまな短い論述文の類も何十本か書いていました。
ただし、それらを公表できるというあてがあったわけでありません。
それらのうちの一つを当時、出版社に送ってみたことはあります。
しかし、それも活字にはなりませんでした。
一方で当時、まだメディア業界での実績がない無名の若者が書いた文章であっても、活字の形で公表される可能性のある手だてが一つ存在していました。
それは「小説を書いて、出版社が作品を募集している新人賞に応募し受賞する」というものです。
出版社やその関連の団体が出している文学賞には、すでに活字になっている作品に対して与えられるものもあります。
その手の文学賞のうち、広く知られているものとしては芥川賞や直木賞があります。
一方で、まだ無名の人たちから未発表の作品を募集し、その中から選ばれたものに与えられる文学賞もあります。
こちらの種類の文学賞は普通、新人賞と総称されています。
ただし種類の上では新人賞でありながら、正式な名称に「新人」という言葉が付けられていない文学賞も少なくありません。たとえば文藝賞とか、江戸川乱歩賞などです。
これら小説の新人賞には長篇や中篇を募集しているものと、短篇を募集しているものがあります。
出版社が主催している新人賞を長篇や中篇の小説が受賞すると、普通はその出版社から本として出版されることになります。
短篇の場合は普通、最初はその出版社が出している雑誌に掲載されます。そして同じ書き手による短篇が一冊の本にできるほどの分量たまると、普通は本として出版されることになるのです。
出版社とは関係のない各種の団体などが主催している新人賞は、受賞した作品が活字にはなっても本として出版されるとは限りません。
小説の新人賞には純文学の作品を募集しているものと、エンターテインメント小説もしくは大衆小説などと呼ばれる類の作品を募集しているものがあります。
そのうちエンターテインメント小説を募集している新人賞は普通、短篇か長篇を対象としています。
かたや純文学の作品を募集している新人賞は普通、短篇か中篇の小説を対象としています。
そのことも念頭にあって私は、まず純文学の中篇小説を書きはじめました。
高校時代に自分が友人たちへ宛てて書いた手紙を元にして、「とんカツの頃」という題の書簡体小説を書いたこともあります。
この書簡体小説というのは、まだ小説を書きはじめたばかりの者にとっても書きやすい形式だと言うことができるでしょう。
あるいは「あかずの踏切り」や「此処より他の場所」という題で、互いに独立した作品ではあるものの同じ作中人物たちが登場する連作を書いたこともあります。
この「あかずの踏切り」などの連作では、少し実験的な形式を試みてみました。
普通の小説のような文体で書かれている部分だけではなくて、まるでエッセイのような文体で書かれている部分や、論述文のような部分なども含まれるモザイク形式にしたのです。
さらには作品のあちこちに、自作の詩もちりばめました。
映画やTVドラマなどには、いくつもの挿入歌がちりばめられているものがあります。
それらの挿入歌の歌詞は、それが挿入されている部分の物語の筋に完全に適合している場合もありますが、少しだけずれがある場合なども見受けられます。
しかしどちらの場合でも、その適合ぶりや少しのずれが物語の感慨を高めて幅も与えてくれるわけです。
そこで私は、それと同じような効果を狙って「あかずの踏切り」などの連作に自作の詩をちりばめたのでした。
しかしこれらの作品は、純文学の新人賞に応募したものの受賞はできませんでした。
さまざまな文体で書かれた部分をモザイク状にして詩もちりばめるという試みは、なかなか面白いものであったと今でも考えています。
しかし残念ながら肝心な出来ばえのほどが、まだ未熟な若書きでしかなかったことは素直に認めないわけにいかないのでしょう。
(「好きな生き方を選べる好機」より)
「とんカツの頃」「あかずの踏切り」「此処より他の場所」は、いずれも当塾に掲載されています。
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大学に提出するレポートや論文の他に、さまざまな短い論述文の類も何十本か書いていました。
ただし、それらを公表できるというあてがあったわけでありません。
それらのうちの一つを当時、出版社に送ってみたことはあります。
しかし、それも活字にはなりませんでした。
一方で当時、まだメディア業界での実績がない無名の若者が書いた文章であっても、活字の形で公表される可能性のある手だてが一つ存在していました。
それは「小説を書いて、出版社が作品を募集している新人賞に応募し受賞する」というものです。
出版社やその関連の団体が出している文学賞には、すでに活字になっている作品に対して与えられるものもあります。
その手の文学賞のうち、広く知られているものとしては芥川賞や直木賞があります。
一方で、まだ無名の人たちから未発表の作品を募集し、その中から選ばれたものに与えられる文学賞もあります。
こちらの種類の文学賞は普通、新人賞と総称されています。
ただし種類の上では新人賞でありながら、正式な名称に「新人」という言葉が付けられていない文学賞も少なくありません。たとえば文藝賞とか、江戸川乱歩賞などです。
これら小説の新人賞には長篇や中篇を募集しているものと、短篇を募集しているものがあります。
出版社が主催している新人賞を長篇や中篇の小説が受賞すると、普通はその出版社から本として出版されることになります。
短篇の場合は普通、最初はその出版社が出している雑誌に掲載されます。そして同じ書き手による短篇が一冊の本にできるほどの分量たまると、普通は本として出版されることになるのです。
出版社とは関係のない各種の団体などが主催している新人賞は、受賞した作品が活字にはなっても本として出版されるとは限りません。
小説の新人賞には純文学の作品を募集しているものと、エンターテインメント小説もしくは大衆小説などと呼ばれる類の作品を募集しているものがあります。
そのうちエンターテインメント小説を募集している新人賞は普通、短篇か長篇を対象としています。
かたや純文学の作品を募集している新人賞は普通、短篇か中篇の小説を対象としています。
そのことも念頭にあって私は、まず純文学の中篇小説を書きはじめました。
高校時代に自分が友人たちへ宛てて書いた手紙を元にして、「とんカツの頃」という題の書簡体小説を書いたこともあります。
この書簡体小説というのは、まだ小説を書きはじめたばかりの者にとっても書きやすい形式だと言うことができるでしょう。
あるいは「あかずの踏切り」や「此処より他の場所」という題で、互いに独立した作品ではあるものの同じ作中人物たちが登場する連作を書いたこともあります。
この「あかずの踏切り」などの連作では、少し実験的な形式を試みてみました。
普通の小説のような文体で書かれている部分だけではなくて、まるでエッセイのような文体で書かれている部分や、論述文のような部分なども含まれるモザイク形式にしたのです。
さらには作品のあちこちに、自作の詩もちりばめました。
映画やTVドラマなどには、いくつもの挿入歌がちりばめられているものがあります。
それらの挿入歌の歌詞は、それが挿入されている部分の物語の筋に完全に適合している場合もありますが、少しだけずれがある場合なども見受けられます。
しかしどちらの場合でも、その適合ぶりや少しのずれが物語の感慨を高めて幅も与えてくれるわけです。
そこで私は、それと同じような効果を狙って「あかずの踏切り」などの連作に自作の詩をちりばめたのでした。
しかしこれらの作品は、純文学の新人賞に応募したものの受賞はできませんでした。
さまざまな文体で書かれた部分をモザイク状にして詩もちりばめるという試みは、なかなか面白いものであったと今でも考えています。
しかし残念ながら肝心な出来ばえのほどが、まだ未熟な若書きでしかなかったことは素直に認めないわけにいかないのでしょう。
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「とんカツの頃」「あかずの踏切り」「此処より他の場所」は、いずれも当塾に掲載されています。
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