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愛は地球を救わない.原14-2 [恋愛小話]

「わからないなあ、どうしてそうなるんだ。だって奴らには、自分の祖母や曾祖母を見分けることができないんだろ。かなんが今さっき自分で、そう言っていたばかりじゃないか」

「だから言ってるじゃない、あの子たちにとって私だけは特別な存在なの。あの子たちにとって言ってみれば私は、あの子たちの全てが生まれてくるきっかけを与えた大もとの祖先にあたるわけでしょう。だから私についての記憶だけは、あの子たちの遺伝子に埋めこまれているのでしょうね。この先あの子たちが代を重ねても、ずっと受けつがれていくことになるみたいだわ。そして私のことを自分たちの祖先として崇め、大切にしてくれるのよ。私を襲うことが許されていたのは、そのタッパーウェアの中にいる最初のやつだけだったっていうわけ」

「なるほど、そうなのか。すなわち他の女の人は奴らに襲われつづけても、かなんだけはそれを免れられるっていうんだね。だけどまだ一つ、どうもよくわからないぞ。どうして奴らにとって、かなんだけが特別なんだ。かなんが最初に襲われて子供を産んだから、それで奴らにとって特別な存在になったっていうのはわかるんだけどさ。じゃあ最初の奴は一体どうして、かなんを襲って子供を産ませたんだろう。決して他の女の人を襲わず、よりにもよってかなんのことを」

「何を今さら先生は、しょうもないことを言っているのよ。そんなのは言われるまでもなく、わかりきっていなければいけないはずのことじゃない。だって最初のあれっていうのは、先生の何だったんでしょう。この部屋へ来てもらった時に先生が、そう自分の口から言っていたんじゃないですか」

 かなんの言葉は私の意識の盲点を、少しの狂いも見せずに鋭く貫きとおしてみせる。
 そうだ、確かにかなんの言う通り。あまりにも色々なことが目まぐるしく起こりつづけていたせいで、すっかり見失いかけてしまっていた。でも全てのことの起こりは、この私に他ならなかったのだ。かなんに対する私の激しい愛こそが、これら全てを引き起こした大もとであり引き金でもあったのだ。ことの移りゆきに私までもが翻弄されて、うっかり自分が全ての事態の張本人だということを忘れてしまっていたのだが。

「そうか、ようやくわかったよ。それで奴らの全てにとっても、かなんは特別な存在なんだな。この私自身にとって、かなんが特別な存在に他ならないがために」
「やっと気づいてくれたのかしら、これらの全てを引きおこしたのは先生だっていうことに。これらの全ては先生が原因で、この世界に創りだされたものに他ならないのよ。この部屋の中に浮かんでいる子供たちも、それから最初に私を襲ってきたやつもね」

「そう言えば昨夜だったか、かなんに対して私は話したっけね。あの最初に現われたペニスの奴は、かなんを愛する私の気持ちが産みだしたものなんだって。自分で言っておきながら忘れてしまっていただなんて、どうにも情けない話ではあるけれど」

「どうやら先生は私のことを、よほど激しく愛してくれていたようね。そんな先生の激しい想いが形になって、この世界を産み出してしまったんだわ。だからここでは先生こそが、この世界における主人公なの。この世界では先生が、全ての存在の父親に他ならないのよ。そして先生が選んでくれた私は、この世界における全ての存在にとっての母親だということになるわけかしら」

「かなんの言うとおり、どうやら最初に現われたペニスを創りだしたのは私に他ならなかったようだ。かなんの体を抱かせてもらいたい、そうすることでかなんを歓ばせてあげたいという私の強い想いが原因となってね。そして私の創りだしたペニスに射精されたことで今度は、かなんが今この部屋の中に浮かんでいる奴らの母親になったというわけか」

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