SSブログ

「2-2-3 一方的な献身は不幸の元」より [恋愛で必ず幸せになる秘訣]

 かつて私が二十代の終わりから三十代の初めにかけて、一人の若い女性のことを愛していた時期の話です。
 その女性は私より、十一歳も年下でした。
 そして幼い子供の頃から、あまり親には愛されずに育ってきたと言うのです。
 そのせいもあってか立派な乙女に成長した当時も、高校や大学など、自分が属している周囲の環境とは必ずしもなじめずにいるようでした。
 それでも彼女は自分なりに一生懸命、健気に生きていたのです。

 そんな若い女性の姿を見ると男性は、「自分が彼女を守ってあげたい」という気持ちにかられてしまうことがありますよね。
 そして彼女の側でも、そんな私のことを頼りにし、慕ってもくれているようでした。
 その結果として私はいつしか、彼女のことを愛するようになっていたのです。

 はじめのうちは、父親が自分の娘を愛するような気持ちだったのかもしれません。彼女が自分の両親からはあまり愛されていないと言うので、「ならば私が親の代わりになってあげよう」という気持ちもあったのでしょう。
 でもそれが、いつの間にやら「一人の男性として、一人の女性を愛する気持ち」に変わっていったようでした。

 人は誰しも若い頃には、他の人より自分のことを一番大切に感じています。
 しかし人間として成長してくると、愛する相手のことを自分自身より大切に感じはじめる人も出てきます。
 おそらく二十代の終わり頃の私は、ちょうどそういう時期にさしかかりつつあったのでしょう。
 その彼女を喜ばせるためであれば、自分の希望や人生は犠牲にしてしまってもかまわないという気すらしていました。
 そうやって「自分は愛する相手のために自分自身を犠牲にすることができるのだ」と考えることで、自虐的な自己満足の気分を味わっていた面もあったのかもしれません。
 しかしそこには、本当に彼女のためによかれと願う真実の愛があったのだと、私は今でも思っています。

 当時の私は一生、彼女のために生きてもいいつもりでいました。
 そんな自分の思いを私は彼女にも、はっきりと伝えたのです。
 しかし彼女は、そんな私の彼女に対する思いを受け入れてはくれませんでした。

 私が彼女のことを気づかってきたことに対しては、とても感謝しているのだと彼女は言います。私のことを尊敬してくれているとすら、言うのです。
 しかし、だからこそ決して私の思いを受け入れることはできないと言うのです。

「今の自分は、自分が生きたいように生きているのだ」と、彼女は言うのです。だから私のためを考えて自分の生き方を変えることは、できないと言うのです。そんな今の彼女が私の気持ちを受け入れたなら、私のことを自分のために利用してふりまわしてしまうことになると言います。私に感謝し尊敬もしてくれている彼女にとって、そんなことは決して自分で自分に対して許してしまうわけにいかないとも言うのです。

 そんな彼女の返事に対して、当時の私は悲しく寂しい思いを禁じえませんでした。
 でも年月が経った今になってふりかえってみると、「確かに彼女が言っていたことの方が、もっともだったのかな」という気もしてきます。

 もしも当時の彼女が私の気持ちを受け入れ、私と彼女が恋人同士の関係になっていたとしましょう。
 すでに働いていた私は親と折り合いが悪かった彼女の生活を支えるため、彼女と結婚することも考えていました。
 でも、そうやって私と彼女が恋人や夫婦になったとして、後々までも幸せでいつづけることができたでしょうか。

 当時の私は本当に、自分のことを犠牲にして彼女のために尽くすことに喜びを感じていました。
 しかし自分の側が一方的に尽くしつづける関係に、はたして私は長く満足しつづけていられることができたでしょうか。
 そう考えると正直に言って、必ずしも自信はありません。
 たとえどれほど本当に優しい人であっても、自分の側だけが一方的に尽くしつづける状態が長く続くと、ある程度は不満を感じはじめるのではないでしょうか。
 ましてや私はお恥ずかしながら、決してそんなに人間ができてはいない未熟者でしかないわけですし。

 さらには当然、彼女の側の気持ちの問題も考えなければなりません。
 彼女は当時、本人が言っていたとおり「親や学校などによる束縛から抜け出て、自分が生きたいように生きる自由と楽しさ」を味わえる境遇を、やっと手にすることができていました。
 なのに私と恋人や夫婦になって、そんな自由と楽しさを私のために少しでも制限することになったとしたら――おそらく彼女は正直なところ、不満を禁じえなかったことでしょう。
 かといって私と恋人や夫婦になっても自分の生きたいように生きつづけ、彼女のために私が自分を犠牲にすることに甘んじてしまったとしたら――そんな自分自身のことを彼女は絶対に許すことができず、やはり決して幸せにはなれなかったのではないでしょうか。

 そうやって当時の私と彼女の関係をふりかえってみても、やはり「片方が一方的に相手に対して尽くしつづける関係は、決してお互いに幸せになることができない」と言えるのではないかという気がするのです。
(『恋愛で必ず幸せになる秘訣』「2-2-3 一方的な献身は不幸の元」より)

解説
 ここで触れられている「彼女」とは、当塾の「16才と27才の恋話」や「20才と31才の恋話」などに登場するナツヨのことです。
 ナツヨとの関係について数十行で手短に説明している文章としては、これが最も簡潔だという気もします。
 そこで今後、ナツヨとの関係について手短にご説明する必要が生じた際に「この頁をご参照ください」と言えるよう、これをここに掲載しておくことにしました。

[読者へのお願い]
「人気blogランキング」に参加しています。
 上の文章を読んで「参考になった」とか「面白かった」などと評価してくださる方は、下の行をクリックしてくださると幸いです。
「人気blogランキング」に「幸せになれる恋愛ノウハウ塾」への一票を投じる

nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:恋愛・結婚

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。