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最近の恋愛事情を一覧 [恋愛実用書などで学ぶ]

牛窪恵『「エコ恋愛」婚の時代』光文社新書

 どうやら男も女も「20世紀に若者だった世代」と「21世紀に入った現時点で若者と呼ぶべき世代」とでは、恋愛に対する考え方に大きな違いがあるらしい――これまで当塾では何度か、そう唱えてきました。詳しくは「20世紀と21世紀の恋愛の違い」などの頁を、ご参照ください。

 上記のような主張の根拠となる事実は、これまでにいろいろと明らかにされてきました。各種の団体が行なったアンケート調査の結果などです。しかしそれらのデータは今まで、いろいろな新聞や雑誌や書籍などで、その都度ばらばらに公表されてきました。それらのデータ全てを一度に俯瞰しようとすると、けっこう面倒だったりしたのです。

 ところが二〇〇九年の六月に、それらのデータの多くを一冊にまとめて掲載した本が出版されました。それが牛窪恵の書いた『「エコ恋愛」婚の時代』です。この本を読むと、日本における最近の恋愛事情に関する知識を、一度にまとめて得ることができます。その意味では、実にありがたい本だと言えるでしょう。

 たとえば同書の中には、次のような記述があります。

 いまや20代の独身男女が「デートする場所」のトップは「カレ(またはカノジョ)の家」、なんと65%がそう答える

 あるいは次のような記述も、興味深いのではないでしょうか。

「異性と仲良くするために多額のおカネを使うのはバカらしい」と答えた男女は、やはり若い世代ほど多い。30~44歳の既婚者(20代独身時)で約2割なのに対し、18~19歳では約4割にのぼる。

 さらには「すでに高1の3割超が性経験者なのだ」という記述などもあります。
 しかし一方で同書には、疑問を感じざるをえない面もあるようです。たとえば、次に引用する部分をご覧ください。

00年、ITバブルが起きた年の「結婚意向アリ」は、20歳男性で約9割いた。それが、02年にかけて景気が一時冷え込むと、一挙に73%と15%以上もダウン。

 00年に「約9割」というのが正確に何%だったのかは不明ですが、ちょうど90%だったものと仮定しましょう。しかし02年には20歳の男性のうち「結婚意向アリ」の人が73%だったのだとすると、その2年間に19%ほど減ったことになります。
「15%以上」という表現には「19%」も含まれるので、「19%ほど減った」時に「15%以上もダウン」と書いても間違いではありません。しかし「19%ほど減った」のを「15%以上もダウン」と書くのは、やや不自然ではないでしょうか。

 わかりやすくするため、別の例で考えてみましょう。
 ある内閣の発足時における支持率が、ちょうど80%だったとします。
 その内閣の一年後における支持率は、ちょうど40%だったとします。
 この場合、その内閣の支持率は一年間で何%減ったことになるでしょうか。
 支持率がちょうど半分になったのですから、答えはもちろん50%です。

 しかし世間には上記のような場合、間違えて「40%減った」と答える人たちも多いようです。
 一年間の減少分として「40」という数字を出したい場合、マスメディアでは「40ポイント減った」だとか「40%分、減った」などの表現が用いられることが多くなります。
 これらの表現であれば間違いではないわけですが、「40%減った」と書いてしまうのは問題だと言わざるをえません。

 これと同種の間違いを牛窪恵が犯していると断言できるだけの証拠を、私は見つけることができていません。
 しかし「牛窪恵は、この間違いを犯しているのではないか」と思われる箇所が、『「エコ恋愛」婚の時代』には何度も出てくるのです。
「牛窪恵は、この間違いを犯している」とわかれば、そのつもりで同書の記述を読むことができます。
 しかし間違えているのかどうかが定かでないだけに、同書の中でアンケート調査の結果などが書かれている部分は、どう解釈すればいいのか悩まされずにいられません。

 アンケート調査などを正確に行ない、その結果を正確に伝えるためには、いろいろと気をつけるべきことがあります。不注意な書き方をしてしまうと、読む人に誤解を生じさせる可能性が高いのです。
 社会調査法について大学などで学んだり、各種の報道機関で世論調査の結果を伝える役目を担当している人は、それらの注意点を知っていることが多いのでしょう。ですから普通は、上記のような間違いを犯していないと読者にわかってもらえるような書き方をするように心がけるわけです。
 しかし『「エコ恋愛」婚の時代』は、そういう書き方がされていない箇所が多いのです。
 したがって同書の中の記述は残念ながら、資料として利用できないものも多くなってしまっています。

 くりかえしますが『「エコ恋愛」婚の時代』の出版意図は、恋愛について研究している私のような人間にとって、非常にありがたく感じられるものです。それだけに上記のような同書の欠点は、とても残念に思われてなりません。

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「エコ恋愛」婚の時代 (光文社新書)


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