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究極の愛を掴んだ31才.9-2 [20才と31才の恋話]

「うん、それなんだけどさ」ボクも頭を切りかえて、仕事の方へと気持ちを向ける。「今日は仕事にとりかかる前に、ナツヨの希望を確かめておこうと思っていたんだ」
「私の希望って、何についての?」
 そうナツヨに訊かれ、ボクは説明することにした。
「うちの会社の二階でやっている仕事については先週、おおまかにだけど話したよな。その上で今日は、ぜひともナツヨに訊いてみようと思っていたのさ。この会社でナツヨが今後、どんな仕事をしたいと思っているのかってことをね」
「それはいったい、どういうこと?」

「もしもナツヨがある程度この会社で長く勤めるつもりがあるなら、なるべく一通り全ての仕事を覚えてもらった方がいいのだろうけどさ。でも、それはナツヨの心づもりによって変わってくると思うんだ。長く勤めるつもりがあるのか、それとも単にわりと短い間のアルバイトだという気でいるのかで」
「それは正直、まだ今の時点では何とも言えないなあ」ナツヨは、首を傾げてみせる。「なにしろ私は、この会社でまだ数日間だけしか働いていないわけですし」

「だけどもし、わりと短い間だけのアルバイトで終わるのだとしたらさ。この会社で働いたことが、なるべくナツヨ自身のためになるよう考えてみたいと思ったんだよ。将来もしも他の会社で働くことになった時にも役立つような経験を積んでおいてもらう、などの形でね」
「あ、なるほどね。先輩は、あくまでも私のために訊いてくれているのか」

「かなり特殊な種類の作業を担当してもらった場合、その経験は他の会社で働く時に役立たないと思うんだ。たとえば土質工学の知識を覚えてもらっても、それが活かせるのは建設業界での仕事くらいだけだろうしね。それに対して、たとえばコンピューターやプログラミングの知識を学んでおけばさ。それは将来、いろいろな会社で役に立ちそうじゃないか」

「だけどコンピューターのプログラムを作れるようになるのって、かなり難しいのでしょうに」
「まあプログラミングってのは、極端かもしれないけどさ。でもコンピューターを使って行なう作業のやり方は、覚えておいて損はないんじゃないのかい。コンピューターの利用は日本でも、この先ますます増えていくことだろうし」
「この会社でプログラミングの他にコンピューターを使う作業って、何と何とがあるのかな」

「やっぱり最も多いのは、文書の作成だろうね。だけどナツヨは今さら、その練習をする必要はないわけだよな。すでに充分、慣れているのだからさ。だとすると、次に多いのは表計算の作業か。建設現場で計測した結果の数値をもとに、いろいろな計算をさせるんだ。その結果を表やグラフの形にすることも多いし」
「それって正直、いかにも頭が痛くなりそうですよね。私は学校でも数学や物理って、あんまり好きじゃなかったし。高校を卒業した時、もう数学や物理はやらなくていいと思って喜んだくちだから」
 そう言ってナツヨが顔をしかめたのにはかまわず、ボクは話を先へ進めた。

「それともう一つ同じくらいに多いのは、絵や図面を描く作業だな。これは以前だと、手で描いていたようなんだけどさ。最近は、やはりコンピューターを使って描くようになっているんだ」
「絵や図面って、どんな?」

「まず一つめは、建設現場に計測器を取り付ける手順や方法を説明するための図だよ。こちらは簡単な漫画絵とでもいうような類の図だから、いわゆる『お絵かき』用のソフトで描くことが多いんだけどさ。それとは別に、建設現場のどこに何の計測器を取り付けるのか示すための図面を描くこともあるんだ。こちらは正確な位置を示す必要があるから、本格的なCAD用のソフトを使うことになるけど」
「そのキャドっていうのは世間でも、時おり耳にすることがあるっけ。だけどいったい、どういうものなんですか?」

「CADは本来、コンピューター・エイディッド・デザインの頭文字でさ。エイディッドってのは『助ける』という意味のエイドの受け身だから、つまりコンピューターに助けられてデザインや設計を行なうことなんだ。まあ簡単に言えば、コンピューターで設計図を描くことだと思ってもらってもいいんじゃないのかな」
「それを使えるようになるのって、大変なのかな」

「お絵かき用のソフトは小さな子供でも、少し遊んでいるうちに使い方を覚えるそうだよね。そしてCADのソフトも二次元用のやつなら、お絵かき用ソフトの延長線上にあるようなものだからな。ひとまず使えるようになるだけだったら、それほど時間はかからないみたいだよ。現にうちの会社でも皆、何日か練習しただけで使えるようになっているしさ」

「CADのオペレーターの募集って、求人雑誌とかにもたくさん載っているじゃないですか。CADを使えるようになっておけば、将来的にも仕事を見つけやすいのかなあ」
「それはおそらく、そうだろうと思うよ」ボクは、うなづく。「遠い先のことまではボクにもわからないけど、少なくとも当面の間はね」

「ねえ、先輩。できたら私、CADをやってみたいな」少し気がねをしているような顔つきを見せながらも、ナツヨは言った。「計算とかと違って図を描く作業なら、私にもやれそうな気がするし」
「よっしゃ、わかった。それじゃあ近いうち時間がとれたら、ナツヨにもCADの使い方を練習してもらうことにしよう」そう言ってからボクは一言、つけくわえておくことにする。「ナツヨがCADを使えるようになったら、この会社で長く勤めてもらうことになった場合も便利だからな」

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智太郎

失業率が高まる中、建設業界で建設現場に行く時もあるが、ほとんど自宅でCADのアルバイト中、熱中症対策で、エコ的にに、PCにつなぐUSB扇風機で過ごしてますが、経済産業省原子力安全・保安院の西山英彦審議官が、週刊誌で愛人スキャンダルを報じられ呆れた愛人報道では芸能界を引退した山本モナでも、おもしろい短歌をつくってみた。 地域猫のチータ(メス猫18歳の高齢猫)も夏バテ気味で写真を貼った。オーストラリア留学から戻った姪からの土産も貼ったが姪も愛人なんかつくらずに勉強を頑張って欲しい。
by 智太郎 (2011-07-04 11:02) 

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