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恋愛エッセイ小説を考案.4 役立つ恋話を [塾頭の経歴]

 女性の作者の手になる恋愛物語は、主として女性の読者に読まれます。
 一方で男性の読者が恋愛物語を読む場合、男性の作者による作品が選ばれる傾向があります。
 これらの場合、書き手と読者の性別が一致しているわけです。
 多くの場合は主人公の性別も、書き手や読者のそれと一致しています(男性同士の同性愛を描いた作品を好んで読んだり書いたりする女性がいるというように、若干の例外はありますが)。

 そして恋愛物語において、主人公にとっての恋愛や結婚の対象となる相手役は「主人公や読者や作者にとって理想的に感じられるが、実際にはほとんど存在しないような非現実的な異性」であることが多いのです。
 主人公の側では特にその相手のために行動しなくても、なぜか相手の側では一方的に主人公のために優しく尽くしてくれたりするのです。
 そのような筋書きの恋愛物語は確かに、それを読む人たちの憧れを刺激したり願望を満たして、いい気持ちにさせてくれる夢物語ではあるのでしょう。

 しかし現実には当然、そのように一方的に優しく尽くしてくれる異性と恋仲や夫婦になれる可能性は滅多にありません。
 したがって、そのような恋愛物語は実際の恋愛や結婚をするための役には立たないのです。
 それどころか、そのような「一方的に優しく尽くしてくれる異性」に憧れるあまり、実在する現実の異性が物足りなく感じられてしまったら――
 そのような恋愛物語を読みふけることは、むしろ実際の恋愛や結婚をする上での妨げにすらなってしまいかねません。

 しかし私は「自分なら、それらとは少し違った類の恋愛物語を書くことができそうだ」と考えました。
 それまでの体験などから、男性である自分とは異なる女性の心理や考え方についても、ある程度は知識を得ることができたと考えていたからです。

 恋人や結婚相手のために優しく尽くしてあげたい、という気持ちを抱いている人たちは存在しています。
 しかし自分の側だけが一方的に優しく尽くしてもらいたいと願っているような我がままな人が、そういう優しい人に愛されることなど、あまり期待できないでしょう。
「自分が大切に思っている人のために優しく尽くしてあげたい」という気持ちを抱いている人たちは、やはり同じような優しい気持ちを抱いている人をこそ恋人や結婚相手に選ぼうとする場合が多いからです。

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恋愛エッセイ小説を考案.3 恋愛を主題に [塾頭の経歴]

 もしも多くの部数が売れたら、この「しかけ」が話題となり『嫉み深い男』の「売り」ともなっていた可能性もあったのかもしれません。
 あるいは逆に、非難の対象にされてしまっていた可能性も考えられます。
 でも実際には『嫉み深い男』は、決して多くの部数が売れはしませんでした。
 ですので私が試みた「しかけ」は話題になることも、逆に非難の対象となることもないままに終わってしまったのです。

 しかし、このようにささやかな「しかけ」や試みでは充分でありません。
 無名の書き手が書いた作品が出版されて多くの人たちに読まれるためには、もっと「大勢の読者の人たちが読んでみようと考えるような特長」が必要なのです。
 はたして「大勢の読者の人たちが読んでみようと考えるような特長」とは、どのようなものなのか――
 それを私は、まず作品の「内容」と「形式」の両側面に分けて考えてみることにしました。
 最初に私は「どのような分野の内容が書かれている作品であれば、大勢の読者の人たちが読もうとしてくれるのだろうか」と考えてみたのです。

 たとえば私は聖書で描かれている神の性質を主題の一つにした作品を、それまでに二つ書いていました。「民に自由を」から改題された「終らない夜の始まり」と、「ヤハウェの呪い」の二作です。
 聖書で描かれている神は、ユダヤ教徒とキリスト教徒とイスラム教徒の人たちが信仰しています(キリストは神と一体だとはされていますが、神そのものではなく、その子供です)。
 その神のことを何と呼ぶか、エホバと呼ぶかヤハウェと呼ぶかアラーと呼ぶかは、それぞれの宗派などによって異なるのですが。
 したがって二十一世紀の冒頭の時点では人類のうち半分ほどが、その神を信仰していたことになります。インドや中国の人口が増えることによって、この比率は変わっていくものと予想されるわけですけど。

 しかも哲学にせよ文学にせよ、あるいは自然科学や社会科学もそうですが、欧米の学問や芸術にはキリスト教が大きな影響を与えています。
 したがって欧米の文学や学問を学んできた私にとっても、聖書で描かれている神の性質は決して避けて通ることのできない問題だったのです。
 すなわち聖書で描かれている神の性質は私にとっても、さらには人類の半分ほどにとっても大いなる関心の的だと言えるのでしょう。

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恋愛エッセイ小説を考案.2 解説も創作 [塾頭の経歴]

 まだ二十代だった頃に私が書いた「あかずの踏切り」などの連作は「さまざまな文体で書かれた部分をモザイク状にして、詩もちりばめられている」点が大きな特長となっていました。
 しかし、それは必ずしも「大勢の読者の人たちが読んでみようと考えるような特長」だとは言えないでしょう。
 しかも残念ながら肝心な出来ばえのほどが、まだ未熟な若書きでしかなかったのです。
 それらの後で三十一歳だった年に書いた『嫉み深い男』は、わりに素直といいますか単純な形式の恋愛小説でした。
 しかしこの作品で私は一つ、少し珍しい「しかけ」も試みています。

 実は小説には「どこまで、決して事実ではない創作というか作り話の内容を書いていいのか」という問題があります。
 たとえば小説に「あとがき」が付けられる場合、そこには決して作り話ではない本当のことが書かれることも多いようです。
 しかし小説では「あとがき」も本篇の続きで、決して事実ではなく創作された内容が書かれていることもあるのです。
 さらには巻頭や巻末に載せられる「解説」が、決して事実ではない創作だという場合もあります。
 本の表紙などに載せられる紹介文が、決して事実ではない創作だという場合すらあります。
「解説」や紹介文までもが決して事実ではない創作であっても、それが必ずしも「いけないことだ」とはされないのです。

 これが英米などですと内容がフィクションの場合、裏表紙に'Fiction'などと明記するべきだと考えられているようです。
 しかし日本を含むいくつかの国では、たとえ内容が創作であっても、そのことを明記するという慣例は必ずしも確立されていません。
 ですから時おり、まだ本文を読まずに紹介文などを読んだだけでは、それがフィクションなのか違うのか見分けの付けにくい本があったりもします。

 そこで私は『嫉み深い男』で、「あとがき」も「解説」も「紹介文」も創作にするという「しかけ」を試みてみました。
『嫉み深い男』の本文に書かれている物語は実話なのだと、同書の「あとがき」では楓田新人という筆名の著者が自分で書いています。
 そして同書の巻末に収められた「解説」では、著者の友人で絵空言と名のる人物が次のように書いているのです。

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恋愛エッセイ小説を考案.1 大衆小説を執筆 [塾頭の経歴]

(塾頭宅で最近、Internetへの接続が不調です。
なので当面、当塾の更新が不定期になったり途切れたりするかもしれません。
どうか、お含みおきください)

 独立した記者となった私は、知り合いの編集者などから頼まれた記事を次々と書きつづけました。
 しかし執筆の依頼が途切れる時期があっても、他の仕事を受注するため自分の側から働きかけることは原則としてやらずにいました。
 そういう時期には頼まれて書く記事でなく、長い作品を書くために充てようと考えていたからです。

 コンピューターの活用が進めば世の中が便利になって、人々が幸せになれる場合が多いと私は考えています。
 そして私がマイクロソフト社のウェブサイトなどに書いていた記事は、そのためにいくらか貢献できるはずだと思っていました。
 あるいは「大リストラ時代を生きる!」の連載なども、「世の中を良くして皆が幸せになるために役立てる」はずだと考えていました。
 ですから頼まれて書く記事も、多くは私にとってやりがいの感じられるものだったのです。
 しかし「それらとは別に、自分が本当に書きたい類の長い作品を出版できるようになりたい」という気持ちも私は持ちつづけていました。
 ですから仕事の依頼が途切れて時間ができると、そういった作品を書いてみていたのです。

 たとえば労働法規に違反していたハッシュと闘った体験をもとに、「りすとら下剋上」や「りすとら忠臣蔵」という作品を書いてみたりしました。
 これらを読むと労働法規や、違法な会社への対処法などを物語形式で学ぶことができます。
 あるいは織田信長や周囲の人物が、自分たちの身のまわりで起こった事件の真相を推理する物語を書いてみたりもしました。
「あくたれ信長」や「織田家の相剋」、それから「いんてり光秀」などの作品です。

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