ラヴコメを実際に体験

　いわゆるラヴコメには、男主人公と女主人公が同じ一つ屋根の下で暮らしていたり隣同士だったりするものが、かなりあります。
　それは多くの読者にとって、とても羨ましく感じられる状況なのではないでしょうか。
　しかし私は今までに、そのような状況を実際に何度か体験してきたのです。

　そのうちの最たるものは、私が22歳だった年から始まった生活でしょう。
　その年のある日、私は当塾の「19才と22才の恋話」や「16才と27才の恋話」などに登場するミサトの家のそばで貸し部屋の貼り紙を見つけました。
　ミサトの家の斜め前ともいえる位置にある部屋が、貸しに出されていたのです。

　その話をミサトにしてみたところ、その部屋の隣の母屋に住んでいる大家さんはミサトの知り合いだということでした。
　大家さんの住んでいる母屋もミサトの家の斜め前といえる位置にありますので当然、両家は近所づきあいをしていたのでしょう。
　そこでさっそく私はミサトの紹介で大家さんと会い、その部屋を借りることになったのでした。

　その部屋の窓は、ミサトの家でミサトが使っている部屋の窓と向きあっています。
「お互いの部屋の窓と窓とを糸電話で結べば、話ができそうだな」と思ったものでしたっけ。
　この時のことは「22才、生き方を探す旅」や、当塾の「ツグミへの手紙.37」と「ツグミへの手紙.39」の頁に詳しく書かれています。
　どうか、そちらも併せてご高覧ください。

　あるいは、私が中学生だった頃。当塾に「14才の恋話」として掲載した「14才の恋と、サヨナラ」に登場するミドとも私は「大きく見れば、隣同士」でした。
　当時のミドは、とある工場の敷地内にある社員寮に住んでいたのです。ミドの両親が、その寮の寮父母を務めていたからです。
　その工場の隣には役所の建物があって、その役所に勤めている人たちが家族と一緒に暮らすための集合住宅も併設されていました。そして当時の私は、その集合住宅に住んでいたのです。
　ですから家の近かった当時の私とミドは、しばしば他の者もまじえて一緒に下校したりしていました。
　いかにも青春、といった感じですねえ。

　ラヴコメの中には、一緒に暮らしている男主人公と女主人公とが、さらに一緒に働いてもいるものなどもあります。
　当塾の「16才と27才の恋話」などに登場するナツヨは20歳だった年、親から勘当されてしまいました。
　そこで私が当時、働いていた会社でナツヨのことをアルバイトとして雇ってもらったのです。

　しかも私が住んでいた部屋の隣が空き室となったので、そこに引っ越してこないかとナツヨに勧めたりもしました。さすがに、こちらの方は実現しなかったのですが。
　しかしこの引っ越しが実現していれば、私とナツヨは「昼は会社で一緒に働き、夜も隣の部屋で暮らす」という究極のラヴコメ状態になっていたのでしょう。
　この時のことは、当塾に「20才と31才の恋話」として掲載した「究極の愛を掴んだ31才」に詳しく描かれています。

　他にも私は、同じアパートで隣の部屋に住んでいた同い年の女性との恋愛沙汰などを体験してきました。
　考えようによっては、とても恵まれた人生を送ってきたと言えるのかもしれませんね。

　一緒に働いていたり近くで暮らしていると「この人はこういう時には、どういうふうにふるまうのか」ということを詳しく知る上で好都合です。
　男女が互いに相手のことを深く知りあうためには、恵まれた状況だと言えるのでしょう。

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