3 小悪魔は長く愛されない.1 [本当に愛されるのは]
『ルールズ』の内容って日本の男の人たちには、必ずしも通用しないのではないか――
『ルールズ』に対して日本では、そんな指摘をする人も大勢いました。
たとえば「恥ずかしがり屋の男性というのはほとんどおらず、声をかけてこないのは本当に心の底からあなたに興味を持っていないからなのです」という部分などに対してです。
あるいは、島村洋子が書いた『「不道徳」恋愛講座』の中では次のように指摘されていました。
電話してなかなか折り返しの電話がかかってこない場合、どう考えても「いっそう燃えてこちらに夢中になる男」より「これは脈がないな」と引いてしまう人のほうが多いだろう。
折り返し連絡がないのは（仲が険悪でもないんだし）、社会人として不誠実だと思うかもしれない。
そして勇気を出してせっかく誘ったのに、断られちゃうと「モテモテで素敵だ」と思うより、「こりゃ嫌われているのか、それとも本命の男がいるんだろう」と思って、あきらめてしまう男のほうが絶対に多い。
しかも『ルールズ』の原著は、一九九五年に出版されたものです。したがって「二十一世紀に入った今では、少し内容が古いのではないか」と考える人もいるでしょう。たとえば「電話ではなく電子メールで連絡が来た場合、どうするべきかが書かれていない」というようにです。
そこでここから三つの章では、二十一世紀の日本で書かれた恋愛指南書を取り上げてみようと思います。
蝶々という筆名の女性が書いた、『小悪魔な女になる方法』という恋愛指南書があります。
これは二〇〇四年に大和出版から単行本として出版され、二〇〇八年には集英社文庫の一冊としても出版されました。二〇〇九年に静山社文庫の一冊として出版された蝶々の著書『モテの極意☆59』の著者紹介によると、『小悪魔な女になる方法』は「50万部を超える大ベストセラーにな」ったそうです。おそらく二十一世紀の最初の十年間において、日本で最も多く売れた恋愛指南書なのではないでしょうか。
蝶々は二十六歳だった時、東京の銀座にある「高級クラブ」のホステスになったそうです。そして、私生活やホステス業を通じて大勢の男性と接した経験をもとに『小悪魔な女になる方法』などの著書を書いたのです。
したがって蝶々の『小悪魔な女になる方法』を初めとする著書は、「水商売などの経験に基づいて書かれた恋愛指南書」の代表例だと言えるでしょう。
蝶々が唱える恋愛指南は、どういうものなのか。「小悪魔な女」とは、いったいどういう女性のことを意味しているのか。それを最も簡潔に表現しているのは、蝶々の著書『小悪魔Ａ』の中に出てくる次のようなくだりではないでしょうか。
じつは、蝶々中坊のみぎりにすでに実験・体得したんだけど、「自分に気のある男」って、こちらから電話したり手紙渡したり追いかけなくても、「○○くん♪」とか言って軽くつついて仲よくして、後は「ジッ」と知らんぷりして待ってりゃ～。「おいおい？」「まだかな？」「違ったのかよー!!」と根負けして、向こうからアプローチしてくる可能性100％！ ＣＨＯＣＨＯ統計とれてますし、以後、恋愛人生で例外だったケースはありません。
周りを見てても、女が強引プッシュして成就した恋は……その時は一瞬よくても、のちのち男のほうが飽きたり、去る確率が非常に高いみたい。
このうち「後は『ジッ』と知らんぷりして待って」いろという部分は、『ルールズ』の主張とも共通していますよね。「軽くつついて仲よくして」おきながら「後は『ジッ』と知らんぷりして待って」いるという点が、いかにも「小悪魔」だと言えるでしょうか。
そして「軽くつついて仲よく」する具体的な方法として、たとえば『小悪魔な女になる方法』には次のように書かれています。
「あれ？」と前髪やスーツの肩にさりげなく手を伸ばして、ゴミをとってあげたり、「やだー」とウケたついでにカラダを軽く叩いたりするのは、男に絶対、好評です。よほど嫌われていないかぎり、あなたを必ず、女として意識する。
最後に、ひとつ裏＆上級ワザを。それは、「まつげにゴミが」攻撃。そっと指先でつまんだついでに、頬にチュッとキスしたりすれば、落ちない男はまずいない。
これらの恋愛指南は確かに、意中の男性の「遊びの恋の相手」となるためには効果があるのかもしれません。
しかし、相手の男性の「人生の伴侶」となるためには、どうでしょうか。
たとえば『小悪魔な女になる方法』には「小悪魔な女のメンタル・17の共通項」の一つとして「状況がマズくなると『ま、いいじゃんそんなこと』とかわいい笑顔で流そうとする」と書かれています。
でも、そういう女性を「人生の伴侶」にまでしようとする男性は少ないのではないでしょうか。
（『本当に愛されるのは ほのぼの女性』より）
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『ルールズ』に対して日本では、そんな指摘をする人も大勢いました。
たとえば「恥ずかしがり屋の男性というのはほとんどおらず、声をかけてこないのは本当に心の底からあなたに興味を持っていないからなのです」という部分などに対してです。
あるいは、島村洋子が書いた『「不道徳」恋愛講座』の中では次のように指摘されていました。
電話してなかなか折り返しの電話がかかってこない場合、どう考えても「いっそう燃えてこちらに夢中になる男」より「これは脈がないな」と引いてしまう人のほうが多いだろう。
折り返し連絡がないのは（仲が険悪でもないんだし）、社会人として不誠実だと思うかもしれない。
そして勇気を出してせっかく誘ったのに、断られちゃうと「モテモテで素敵だ」と思うより、「こりゃ嫌われているのか、それとも本命の男がいるんだろう」と思って、あきらめてしまう男のほうが絶対に多い。
しかも『ルールズ』の原著は、一九九五年に出版されたものです。したがって「二十一世紀に入った今では、少し内容が古いのではないか」と考える人もいるでしょう。たとえば「電話ではなく電子メールで連絡が来た場合、どうするべきかが書かれていない」というようにです。
そこでここから三つの章では、二十一世紀の日本で書かれた恋愛指南書を取り上げてみようと思います。
蝶々という筆名の女性が書いた、『小悪魔な女になる方法』という恋愛指南書があります。
これは二〇〇四年に大和出版から単行本として出版され、二〇〇八年には集英社文庫の一冊としても出版されました。二〇〇九年に静山社文庫の一冊として出版された蝶々の著書『モテの極意☆59』の著者紹介によると、『小悪魔な女になる方法』は「50万部を超える大ベストセラーにな」ったそうです。おそらく二十一世紀の最初の十年間において、日本で最も多く売れた恋愛指南書なのではないでしょうか。
蝶々は二十六歳だった時、東京の銀座にある「高級クラブ」のホステスになったそうです。そして、私生活やホステス業を通じて大勢の男性と接した経験をもとに『小悪魔な女になる方法』などの著書を書いたのです。
したがって蝶々の『小悪魔な女になる方法』を初めとする著書は、「水商売などの経験に基づいて書かれた恋愛指南書」の代表例だと言えるでしょう。
蝶々が唱える恋愛指南は、どういうものなのか。「小悪魔な女」とは、いったいどういう女性のことを意味しているのか。それを最も簡潔に表現しているのは、蝶々の著書『小悪魔Ａ』の中に出てくる次のようなくだりではないでしょうか。
じつは、蝶々中坊のみぎりにすでに実験・体得したんだけど、「自分に気のある男」って、こちらから電話したり手紙渡したり追いかけなくても、「○○くん♪」とか言って軽くつついて仲よくして、後は「ジッ」と知らんぷりして待ってりゃ～。「おいおい？」「まだかな？」「違ったのかよー!!」と根負けして、向こうからアプローチしてくる可能性100％！ ＣＨＯＣＨＯ統計とれてますし、以後、恋愛人生で例外だったケースはありません。
周りを見てても、女が強引プッシュして成就した恋は……その時は一瞬よくても、のちのち男のほうが飽きたり、去る確率が非常に高いみたい。
このうち「後は『ジッ』と知らんぷりして待って」いろという部分は、『ルールズ』の主張とも共通していますよね。「軽くつついて仲よくして」おきながら「後は『ジッ』と知らんぷりして待って」いるという点が、いかにも「小悪魔」だと言えるでしょうか。
そして「軽くつついて仲よく」する具体的な方法として、たとえば『小悪魔な女になる方法』には次のように書かれています。
「あれ？」と前髪やスーツの肩にさりげなく手を伸ばして、ゴミをとってあげたり、「やだー」とウケたついでにカラダを軽く叩いたりするのは、男に絶対、好評です。よほど嫌われていないかぎり、あなたを必ず、女として意識する。
最後に、ひとつ裏＆上級ワザを。それは、「まつげにゴミが」攻撃。そっと指先でつまんだついでに、頬にチュッとキスしたりすれば、落ちない男はまずいない。
これらの恋愛指南は確かに、意中の男性の「遊びの恋の相手」となるためには効果があるのかもしれません。
しかし、相手の男性の「人生の伴侶」となるためには、どうでしょうか。
たとえば『小悪魔な女になる方法』には「小悪魔な女のメンタル・17の共通項」の一つとして「状況がマズくなると『ま、いいじゃんそんなこと』とかわいい笑顔で流そうとする」と書かれています。
でも、そういう女性を「人生の伴侶」にまでしようとする男性は少ないのではないでしょうか。
（『本当に愛されるのは ほのぼの女性』より）
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