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吸血は性交の隠喩 [真に役立つ恋愛本を]

 吸血鬼に関する物語の中には、セックスについての話として読むことのできるものがあります。
 その中に出てくる「吸血鬼が血を吸う」という行為が、性交の隠喩になっている場合があるのです。
 たとえば私が書いた「終らない夜の始まり」の中の「魔の山」という章には、次のような部分がありました。

「(前略)だけどつぐみさあ、ちょっと聞いてみてくれないか。たとえ吸血鬼に血を吸われた人が、自分まで吸血鬼になってしまうんだとしてもだよ。いったいどの時点までいったら、あるいはどこまで血を吸われたら自分も吸血鬼になってしまうことが避けられないのかというのは決して定かでないわけだろう」
「あれ、そうなんですか。確かに言われてみれば、そこまでは私も考えていませんでしたけど」
「たとえばさ、昨夜だったかも話したじゃないか。吸血鬼にまつわる言伝えのほとんどは今や、ブラム・ストーカーが書いた『ドラキュラ』を何らかの形で踏まえているんだって。でもって『ドラキュラ』の中だと、一度や二度くらい吸血鬼に血を吸われただけじゃ決して自分まで吸血鬼になってしまったりしないんだよ。体の中の血を全て吸いつくされてしまったら、その人も吸血鬼になってしまうようだけど」
「それだってやはり、何の気やすめにもならないですよ。その『ドラキュラ』っていう話が本当に吸血鬼の姿を正しく伝えているという証しは、どこにもないわけでしょうから」
「まあいいや。じゃあ仮に、仮に一度だけ血を吸われても吸血鬼になってしまうんだとしてもだぜ。その場合だって、はたしてどの時点で吸血鬼になることが決まってしまうのかという謎は残るわけじゃないか。牙を突き立てられた時点で逃げだすなり何なりし、たとえ血を全く吸われなかったとしても駄目なのか。あるいは少しでも、たとえ一滴でも血を吸われてしまったらもう駄目なのか。それともある程度の量まで飲まれてしまわないかぎり、少しくらいなら大丈夫なのか。さらには一回分を飲みつくされてしまった時点で、吸血鬼になることが決まるのか。すなわち飲む血の量よりは、とりあえず一回分を飲みおえるという営みに意味があるという考え方だな」
「それっていったい、どういうことです。飲む血の量よりは、とりあえず一回分を飲みおえるという営みに意味があるというのは」
「ほら、蚊に血を吸われる時のことを思いだしてみてごらん。蚊に刺された所がかゆくなるのは、血を吸った後に蚊が薬を残していくからだと言われているじゃないか。血が空気に触れてしまっても、すぐには固まってしまわないようにするための薬をさ。あれと同じように吸血鬼も血を吸った後、何か薬のようなものを残していくのかも知れないわけだろう。そしてその薬が作用して、血を吸われた人まで吸血鬼になってしまうのかも知れないということは充分に考えられるわけだ。現に吸血鬼を扱った小説の中には、それに近い考え方を描いているものだってあったりするんだよ。吸血鬼が血を吸った後で、その相手の体へ自分の血を戻して互いの血が混ざりあった時はじめて相手も吸血鬼になるんだっていう考え方をね」

 この部分には「どこまで性交が進んだら、その二人は『性交した』ということになるのか」という裏の意味が込められているわけです。
 男性のペニスの先端が女性の膣に少しでも入った時点で、「二人は性交した」ことになるのか。それともある程度、奥まで挿入された時点でなのか。あるいは、射精がされた時点でなのか。

 これは場合によっては、重要な問題になることも考えられるでしょう。たとえば、その性交が強姦だったり売買春だったりした場合を考えてみてください。「どこまで性交が進んだら、その二人は『性交した』ことになるのか」によって「先っぽが入っただけだったら、強姦や売買春ではなく未遂だ」と主張できるようになる可能性も出てきてしまうわけです。

 あるいは、二人のうちの片方もしくは両方が処女か童貞だった場合。「先っぽを入れてみた段階で女性の側が痛がったので、それ以上に進むをやめた」時などに「処女もしくは童貞だった側は、そうでなくなったと言えるのか。それとも先っぽだけの場合は、まだ処女なり童貞だと言うべきなのか」という問題に関わってくるわけです。

 ちなみに先の文章で「血を吸った後に蚊が薬を残していく」というのは、性交の後で男性が女性の膣内に精液を残していくことの隠喩になっているわけです。
 察しのいい人は、これらの部分を読んで「ここでは吸血という行為が、性交の隠喩になっているわけだな」と気づき、にんまりとしてくださることでしょう。

 たまたま自作の例を挙げましたが、決してこの「終らない夜の始まり」だけではありません。
 吸血鬼についての物語の中で、実はセックスに関する話題が裏に込められているものは多いのです。
 その場合、それらの作品は表向きこそ恐怖小説だったとしても、実は性愛小説としても読むことができるのだと言えるでしょう。

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